無有

コロバ・ミルク・バーが10年ぶりのアルバムを出したわけですけど、曲作りの段階でボーカルのAKINO LEEが歌詞書くのにやや苦戦してました。
プロデュースするアイドルに書くとか、ある一定のコンセプトがある音影だと彼もその辺はプロなのでスラスラ書けるけど、自分自身が主人公であるコロバにおいては難しいと。
確かにそりゃそうだろうなと思いました。この歳になると世の中に訴えかけたいメッセージなんて、そうそうワンサイドな立場から言えるものも無いです。
かと言って「確かにそういう立場も分かるしもっと言えばその人自身は良いんだけど、その人の影響を受けた人は絶対こうなっちゃうよね。」みたいなのって歌詞にしづらい。
僕は歌詞はあんまり書かないですけど、ブログの投稿がやっぱりそうなんです。かつて2000年ごろですかね、結構な勢いでブログ書いてた時期がありまして、その頃は読み物として面白いものが書きたいという欲があったので、意図的に極端な立場をとって「こうである!」みたいな書き方をよくしてたんです。その方が読みやすいってことに村上龍を読んでて気づいたんです。が、結構それで親しい人との間に余計な感情を生んだ事が反省体験になっちゃいました。それ以来ブログ書くの億劫になっちゃってあんまり書かなくなりました。
ブログって創作と本音との境目が曖昧なので、面白い読み物を書こうと思った場合、インターネット慣れしてない人にそれを読まれるのがリスキーなんですね。
コロバの方に話戻しますと、そんなAKINO LEEが「無有」という歌詞を書いてきました。この曲は割と彼の声を前提として「宛書き」した曲で、ちょっと演歌ロックみたいなやつなんですが、そこにどんな歌詞を持ってきてくれるのかと思ったら「伝えたい事はもう何もない」と書いてきてて、流石というか、ちょっと痛快だなーと思いました。
僕が書いた曲にAKINOLEEが詞を乗せてくる時、割と僕との会話とか思想の共通点を拾い上げたようなものを宛ててくることが少なくなくて、「ニクい」作詞家だなーと思ってます。そんな事があってこの曲は気に入ってるってのと、僕も僕で「書くことない」っていうネタで1投稿してやったぞという。そういう投稿です。