カスタマーサクセスを疑いましょう

この記事は、カスタマーサクセス AdventCalendar 2018 20日目のエントリーです。

こんにちは。宇賀神です。
GMOペパボのEC事業部でカスタマーサクセスの立ち上げをやっています。株式会社BANKでもCS顧問をやっていたりします。
ある程度の年齢になってから、ブログを書くのが非常に億劫になってしまいまして、今回も何書こうか若干悩んだんですが、もうどう思われるか度外視して楽に駄文を書いてみます。

「セオリーというのは、自己流にアレンジせず、一旦そのまま食べてみるべし。」

私はこの説を支持し、いろんなシーンで思い起こしたり、人に提言したりしています。掲題の主張と矛盾しますね。何でカスタマーサクセスのセオリーをそのまま食べずに疑うべしとか言ってるんでしょうか?バカなんでしょうか?それともデブなんでしょうか?

これは断言させてもらいたいんですが、カスタマーサクセスという、ここ10年やそこらで、他国の、ごく一部企業で磨かれたものには、ここで言う「セオリー」に当てはめられるほどの汎用性はありません。
これから日本で我々自身が作っていくべき部分が非常に大きい。

多くの方々がカスタマーサクセスという言葉を知るきっかけになった青本にも、疑わしい情報が多く書かれていると思います。
代表的なひとつを言えば、toCのサービスにも応用できるというのはどこで誰がどれぐらい実証したのでしょうか。数十万ダウンロードを誇るようなゲームアプリに、カスタマーサクセスという部署を置いてハイタッチロータッチという概念を取り入れた例があるんでしょうか。その場合でも経営から巻き込まないと何も始められないんでしょうか。
青本に嘘が書いてあるわけではないのです。
まだまだ、セオリーが汎用性のある段階にきていないので、丸喰いするには向かないんだと思います。(あと、英語で出版されたものは基本的にオーバートークの傾向があるのでその点も要注意だと思っています)

情報は疑う事も素直に信じる事も出来て初めて最大限に価値を発揮します。
お客様の声というのも全く同じです。それを「全てだ」と言い切る事はカッコよくも美しくもなんとも無いし、じゃあ全く見も聞きもしないというのはシニカルでもクレバーでもありません。どっちもただのバカです。

ところで、カスタマーサクセスの話をしていると「いやその話じゃない」と感じる瞬間が多くないですか?そうでもないですか?おっと俺だけか?痩せてる人には感じられないものなのでしょうか。
「え、それ営業の話とすり替わってんじゃん。。」
「うーんそれ系の話は昔っからサポート畑でしつくしてる気がする。。」
とかいうギャップを感じることが結構多くて、結果的に、今のところ僕はカスタマーサクセスよりマーケティング畑の方とお話している方が欲しい情報が取れるなーと思ってたりします。

「サクセスよりマーケの方が有益」という主張ではないです。
「もっと役に立つ情報よこせやお前も太れ」という文句でも全く断じてないです。
カスタマーサクセスというキャッチーなネーミングこそあれど、取り扱っているサービスや、元年と言われる今年に至るまでにやってきた事によって、今年やらなければならなかった事があまりにそれぞれ違いすぎたんじゃないかなと思っているんです。

各サービスにとって、その最適な情報がどこにあるものなのかは、そのサービスに最も詳しいあなたにしか分からないと思うんですよね。
いやそれカスタマーサクセスに限った話か?という声が聞こえてきそうですが、最低でもカスタマーサポートやインサイドセールスと比較すると、明らかに今年それぞれが取り組んできた事が違うと感じています。
非常に親密なお付き合いをさせていただいている方との間でも、やはり今年は実務に直結するような有益な情報交換は難しかったなと思っています。どちらかというと皆さんとの会社をまたいだお付き合いの中では「みんな頑張ってんな!俺も頑張るぞ!ブヒー」という類のインプットがほとんどでした。

要は僕が何をどう思っているかというと、カスタマーサクセスは今、情報のシェアでどうこうなるフェーズではなく、分析や感性を武器にそれぞれが形づくっていくフェーズだと思ってるんです。
僕も当分他社事例をそのまま真似るようなことはしないと思います。そうやって僕も皆さんも、独自にトライアンドエラーをした結果というのを、もうちょっと各自が動ききった後で振り返る時が一番楽しいんじゃないかなとワクワクしていたい所存です。

ここまで書いて公開する直前になってふと思ったんですけど、この文章が届く範囲の人は言われなくてもこんなこと分かってそうだし、この文意を届けたい人ってだいたいこういう情報を掴めない人なんですよね。もどかー。

でも、明日はreploの佐々木さんが、駄文じゃない、カスタマーサクセスの素晴らしい知見を共有してくれると思うので期待!!!