Good Boy Jabの楽曲がリジェクトされた件について
ご存知の方はご存知の通り、Good Boy Jabは中学生男子の下ネタみたいな内容の歌詞が多いバンドです。
来月リリース予定のアルバムから一曲「トゥナイト 〜ちんこ is DA 棒」という曲がリジェクトされました。歌詞が直接的で公序良俗に反するという理由です。修正方法の指示に従い、再申請して承認されたので皆さんにお届けする上では問題ありません。歌詞の表示だけ自粛しました。
このリジェクトの判断に反論するつもりは一切ありません。まあそうだよねとしか思えない。業務上の役割に基づいて、または機械的な判断として公序良俗に反すると捉えるのは当然だと思います。また、公序良俗に反する表現も、表現の自由を確保する良識の範囲内で適切な処理をされています。
ただ、Good Boy Jabが猥褻な気持ちや、パワフルな性欲を表現した事は一度もないということを、皆さんには理解してほしいなと思ってこの記事を書きます。
「トゥナイト 〜ちんこ is DA 棒」は、どちらかといえば性欲を剥き出しにしたようなヤリチンを糾弾している、攻撃的なリアルヒップホップ曲です。女性といやらしいことをしたい性欲のバケモノは、絶対に女性の前で「ちんこ is DA 棒」などとラップしません。こういう発言をしている時点で、自分のパートナー以外からモテようみたいな気持ちをかなぐり捨てているとも言える。もはや彼らは僧侶の領域にいます。
2ndアルバムには「SEX」という曲が収録されていますが、日本語が読解できるならあの曲にも猥褻と捉えられる文意は一切ない事が分かるはずだと信じています。あの曲では、男女の秘め事に関することは一切語られていません。中学生が何故か壁に書いてしまう強力なパワーを持った謎のワードとして「SEX」を歌っています。
僕はもちろんプロデューサーとしてメンバー全員をよく知っていますし、数えきれないほど酒の場を共にしていますが、セックスに関するようないやらしい話を聞いた事は一度もありませんし、そういう生々しい話を一切好まない好青年であることを知っています。そんなパーソナリティを知らなくても、Good Boy Jabの作品を単語で捉えるのではなく文意を読み取れば、あわよくば女を抱きたいみたいなタイプの男性からは絶対に出てこない僧侶表現を常にしているはずです。
プライベートで彼らがいつも話すのは、中学時代にいかに小さな世界でいかにしょうもない悩みを抱え、いかにモテたかったか、どんな情景に憧れて間違った努力をしたか、どんなコンプレックスが自分の人格を形成したかといった話が40%、残り60%は仕事に関する悩みの話です。メンバーに会った事がある方なら分かると思うのですが、非常に実直で真面目な青年たちです。
彼らの歌詞は、そういう実直なパーソナリティをひしひしと感じるような自己表現に溢れていて、いやらしいラブソングに溢れたJpopに対するアンチテーゼを常に感じます。皆さんがノーマルだと思っているJpopの方が、実態はいやらしく、性欲に基づいた表現が多く使われています。もちろん僕はそれ自体が悪だと思っているわけではないですが、辟易としているとは言えると思います。
Good Boy Jabは、そういったものと歌詞で戦っています。ピュアに戦っている。良い表現をするために最も自分たちに合った、最も自分たちをさらけ出せる表現として、中学時代に死ぬほど繰り返してきた不毛な下ネタを繰り出しています。
それは、女性を傷つけたり蔑視あるいは軽視するための下ネタでは全くなく、ただ女性をまだ理解できていなかった頃の自分たちが、いかに人間であったか、いかに成熟しない男性であったかを訴えかけているようにも見えます。これは、不毛である事そのものに重要な意味を持たせる高度なロジックだと言えます。機械的に単語をとらえればいやらしい歌詞に見えるでしょう。しかし、彼らは男性として性にパワフルなわけではありません。むしろそういった欲にまみれた俗世間を一定否定しているからこそ不毛であるという事を、1人でも多くの女性が理解してくれたら嬉しいなと、ただそう願うばかりです。
というわけで、ひとつの不毛な楽曲において、歌詞の配信がてきなくなったという事をご報告します。そうです、「ちんこ is DA 棒」は、読めば分かると思うのですが不毛な楽曲です。