札幌で、ファミマのめっちゃ美味いチョコレートアイスと、たちぽんを食べた感想

札幌に出張に来ています。
札幌には縁があって、高校時代から度々訪れる機会があり、多分今まで合計20回前後は来ていて、関東圏外では最多訪問の街です。関東圏外では最も慣れ親しんでいて、関東圏外では最も土地勘があり、母親が生まれ育った土地でもあり、関東圏外では最も好きな街でもあります。
札幌がこんなにも好きな理由は言語化できない部分もあるし、言語化できるものも多くて説明するのが面倒なんですが、分かりやすい一つを挙げるなら札幌でしか食べられない美味しいものが多いというのがあります。
今日、タバコが吸えるというだけの理由で適当に入った、美味しいと話題なわけでもない2軒目の居酒屋に入った時、道民の同僚から「たちぽん食べましょうか」と言われ、朧げに太刀魚をイメージしながら「いいねー」と賛成したところ、白子ポン酢が出てきました。調べたらタラの白子を「白子」真鱈の白子を「真ダチ」というそうです。これだけ札幌に来ている僕が初めて食べた「たちぽん」は、今まで食べた白子ポン酢を遥かに凌駕するような美味さでした。衝撃の美味しさだった。
道民である彼に言わせれば「いやこれどこの店にもありますし、もっと美味い店全然ありますよ。これフツーっす。」とのことでした。こういうのがあるから北海道って良いんだよと力説しましたが、「へーこれ珍しいんすねー」みたいな反応です。まあよくある話かもしれない。
旅の醍醐味のひとつだと思います。旅行慣れした皆さんなら共感されると思いますが、旅先でチェーン店に入ることほど損なことはない。まあ今日たちぽんを食べたお店ももしかしたら北海道ではチェーン展開してるかもしれないけど、東京にない味を体験できた時に、遠路はるばる訪れてよかったと実感できるのは共感いただけると思います。
ただ、ホテルに戻る直前にはファミリーマートに寄りました。これはしょうがない。欲しいものがウコンの力、ポカリスエット、なんか甘いデザート、みたいな感じで、時間が深夜1時だったら誰でもそうなるでしょう。そこで買った甘いデザートはチョコレートアイスだったんですが、これが今日初トライのアイスで、信じられないぐらい美味しかったんです。これは北海道の力ではなくファミリーマートの力ですね。純粋に美味しさを比較したら、さっきのたちぽんに負けないぐらい美味しかったです。
この時、僕はファミマの店員さんに「美味しかったです!ごちそうさまでした」とは言わないですよね。誰もがそうでしょう。普段ならそれに違和感など微塵も持たないでしょうが、直前に居酒屋で話し込んだ会話内容もあって、これが50年前だとしたらどうだったかなと思いました。
直前に居酒屋で話し込んだ内容というのは、地方差異が薄くなってるという話でした。せっかく遠いところまで来ているのに、世界中どこ行ってもマクドナルドがあるし、似たような建設、似たようなLEDネオンがある。国内の方言も、おそらく100年前だったら関西弁も理解できなかっただろうけどテレビが普及してから聞き取れるようになったんだろうと言われています。YouTuberなんてもっと標準語だから、最近の子どもってマジで方言しゃべらなくなってるらしいねとか、そんな話でした。昔だったら地方に行っただけでもっとカルチャーギャップがあっただろうなと。
さっき寄って行ったファミマも、まあ50年前に1時まで開いてる店があったか定かではないですが、仮に1時に僕がデザートを食べられる個店があったとしたら、間違いなく僕は「美味しかったです!ごちそうさまでした」とか「えーこの味で、安いですね!」みたいな声をかけてたんだと思います。
近代化というのは、一定の平均化を伴っていて、この手の旅先における衝撃やコミュニケーション機会をなだらかにしている。もちろんこれは近代化そのものやチェーン展開している企業を批判する意図は毛頭ないです。事実僕が今日ウコンの力を買えたのはその名の通り、非常にコンビニエンスなことであり、ありがたいことです。その前提で、飽くまでその恩恵を充分に感じた上で、事実として地方体験は平坦になり、旅行の価値は少し下がっている。80年代に東京でとんこつラーメンブームが起きる前までは、福岡に行く価値はもう少し高かったでしょう。ほとんどの人が福岡に行ったらとんこつラーメンを食べたと思います。実際、僕が初めて福岡に行った時は一蘭の美味しさに衝撃を受けたんですが、やはり今「福岡にめっちゃ美味いラーメン屋があるの知ってる?一蘭っていうお店なんだけど」みたいな話を振ったらアホだと思われるでしょう。
経済格差なんて無い方がフェアだと思うけど、地域の独自性はもっと確保されていてほしい。もっとその地でなければ味わえない体験に溢れていてほしい。夜中までネオンを輝かせていたのが、ドン・キホーテではなくその地の個店だったら立ち寄っていた。NIKEやadidasではない札幌独自のブランドがあったら靴も買ってた。その店舗の歴史やこだわりを聞いたり、感想を伝えたりしていた。
無いものねだりだが、言うても札幌ではそれなりにストレンジで良い体験ができているが、近代化の恩恵を多々受けておきながらワガママなのは百も承知だが、そう思った夜でした。