2000年代生まれの若手アーティストが躍進!テクノロジーと音楽業界の変化が後押し

introduction:新しい音楽を常に聴く習慣を作っている理由

僕は10代の頃からバンドをやっていたからか、オジサンが「最近の音楽はてんでダメだ」「最近の若者はローリングストーンズも知らずにロック語るでしょ?」みたいな事を言うシーンに、比較的多く出くわしてきました。
また、僕のミュージシャンとしてのステータスも知らない状態で、夢追い人としてのステレオタイプにはめ込まれ、もっと現実を見ろみたいな説教をしてきた方も非常に多く、それがほぼ例外なく的外れな内容であったことに、多くストレスを感じてきました。
その影響からでしょうか、僕は20代の頃から、自分がああいった老害になることを極端に恐れています。

老害になることを予防する活動の一環として、音楽については毎年「直近リリースされた曲以外をプレイリストに入れない」というルールで毎年気に入った曲をプレイリスト公開していたりします。

Apple Music
Spotify

この、プレイリスト作成はやってて楽しいし、自分の音楽活動にもちゃんとフィードバックされていて手応えは上々なんですが、これを続けてきた中で、最近ちょっと目立った傾向があります。
それが、2000年以降に生まれたボーカリストが異様に台頭してきていることです。

僕のアンテナにかかってきた2000年代生まれのアーティスト8名

上述した僕のプレイリストに実際にランクインしてきた2000年以降生まれの方々は以下の通りです。
それぞれ20歳以下と若くして才能を発揮しています。

2019年:野口オロノ(Superorganism):2000年生まれ:当時19歳


2020年:Beabadoobee2000年生まれ:当時20歳


2021年:詩羽(水曜日のカンパネラ):2001年生まれ:当時20歳


2021年:Zoe Wees:2002年生まれ:当時19歳


2021年:Ado:2002年生まれ:当時19歳


2021年:崎山蒼志:2002年生まれ:当時19歳


2022年:ao:2006年生まれ:当時16歳


2022年:板歯目:推定2004年生まれ:当時18歳

毎年、ベストプレイリストを作る習慣はもう2011年から始めているのですが、明確な傾向として若い才能が目立ってきています。

他にも2000年以降に生まれて人気のある音楽アーティストをいくつか紹介します。

  • Billie Eilish(2001年生まれ)
  • Olivia Rodrigo(2003年生まれ)
  • Ruel(2002年生まれ)
  • Remi Wolf(2000年生まれ)

もちろん、常にヒットチャートはティーンエイジャーを含む若い才能によって盛り上げられています。これは2020年前後に顕著な傾向なのか、僕の趣向がたまたまそういった傾向を持ったのか、これを正確に調査することは非常に難しいです。

ただ、上述した2000年代生まれのアーティストには、それまでとは違った特徴を持っていると感じます。

2000年代生まれのアーティストが持つ特色

2000年代に生まれているアーテイストに特定の傾向があるとして、それは他の世代と比べてどのような特色を持つでしょうか。彼らは、2014年頃に多感な中学時代を過ごしています。
その時代の中学生の生活環境を、10年前の世代(1990年生まれ)と比較して調べてみました。

  1. 音楽ストリーミングサービスの普及
    • 彼らは、SpotifyやApple Musicといった音楽ストリーミングサービスが一般的になりつつある時代に育ちました。一方、その10年前の世代(1990年生まれ)が過ごした2004年頃は、音楽ストリーミングサービスの登場前で、CDやMP3プレーヤーが主流でした。この違いにより、2000年生まれの世代は幅広い音楽ジャンルにアクセスしやすい環境にありました。
  2. 売れていた音楽の傾向
    • 2004年には、ロックやR&Bが主流で、リンキン・パークやアリシア・キーズなどのアーティストが活躍していました。一方、2014年はエド・シーランやテイラー・スウィフトなどのポップシンガーソングライターが人気でした。このように、音楽の傾向も世代によって変化していることがわかります。
  3. DAWソフトの普及
    • GarageBandは、2004年1月に初めてリリースされ、その後すぐにMacのiLifeソフトウェアスイートの一部として標準実装されました。このため、2004年ではGarageBandの普及が始まったばかりで、まだ多くのユーザーが利用していなかったと考えられます。一方、2014年にはGarageBandはすでに10年以上の歴史があり、多くのMacユーザーによって利用されていました。これにより、2014年の世代は、より手軽にDTMソフトを使った音楽制作に取り組むことができました。
    • 2004年当時、Logic(当時はEmagic Logicとして知られていた)の価格は、Logic Pro 6が約1000ドル、Logic Express 6が約300ドルでした。2014年には、Logic Pro X(2013年にリリースされたLogic Proの最新バージョン)は、199ドルの価格で販売されていました。この価格変動により、Logicは時間の経過とともに手頃な価格になり、より多くのユーザーが利用できるようになりました。

1については本当に2000年生まれのスターにどれぐらいの影響を及ぼしたかははっきり分かりませんが、2と3については多くの実例が挙げられます。

オリビア・ロドリゴは明確にテイラー・スウィフトからの影響を明言していますし、彼女がDAWを扱いこなすようになったことと、ロックバンドではなくテイラーから影響を受けたことはほぼ間違いなく関係があると考えられます。
スーパーオーガニズムは、それぞれ住んでいる国が異なり、ネット上で楽曲を仕上げていったとのエピソードがあります。これもDAWの普及あってこそ実現できたものです。

2000年代生まれで、若くして才能を発揮したアーティスト達は、他の世代のアーティストと明確な違いとして、ティーンエイジャーの頃からDAWで作曲やアレンジを楽しんできているという傾向があります。

まとめ

過去の音楽業界においても、若くしてブレイクするアーティストは存在していました。それと比較してここ数年に20歳以下のアーティストが多いのかという具体的な比較はできませんでした。
しかし、近年はいくつかの要因によって若いアーティストが台頭しやすい状況が生まれています。

  1. テクノロジーの進化: DAWやオンラインプラットフォームの発展により、音楽制作や楽曲の配信が以前よりも身近になり、若い世代でも手軽に音楽制作や楽曲公開が可能になりました。10年前や20年前と比較して、現在は若者が音楽制作にアクセスしやすくなっています。
  2. ソーシャルメディアの普及: SNSや動画投稿サイトが浸透し、アーティストが自分の音楽を広める手段が増えました。また、バイラルヒットやインターネット上でのトレンドが音楽チャートに影響を与えることもあり、若いアーティストが短期間でブレイクするケースが増えています。
  3. 音楽業界の変化: 音楽業界は近年、多様化というトレンドがあり、多くの新しいアーティストが台頭しています。若い世代は独自の音楽性や個性を持っており、リスナーの関心を引くことができます。これが、若いアーティストがブレイクしやすい状況を生んでいます。

10年前や20年前と比較して、現在は音楽制作や配信が容易になり、若者が音楽キャリアをスタートさせやすくなっていることが、若いアーティストがブレイクしやすい理由の一つとなっています。ただし、一般的に音楽業界は競争が激しいため、若いアーティストが成功を収めることは容易ではありません。成功するためには、独自の音楽性や才能、そして努力が必要です。

以上のことから、2000年代生まれのアーティストたちは、新たな音楽シーンを築き上げ、多様な音楽体験を提供してくれていると言えるでしょう。彼らの活躍により、音楽業界は今後も大きく変化し続けることでしょう。