ネガティブな感情の方がカラフル説

高校時代、とある音楽仲間に「長調の曲と短調の曲、どっちが好き?」と聞かれたことがありました。
そんなことは考えたこともありませんでした。
彼は短調の方が好きだそうで、その理由は「長調って明るいじゃん?でも、短調って寂しかったり切なかったり怒りだったり、いろんな色があると思うんだ」とのことでした。
おいお前ドビュッシー知ってんのかと。「月の光」はメジャーキーだがお前には明るい曲に聞こえるのかと。それ単に言語においてネガティブな形容詞の種類が多いだけじゃねーのか。みたいなことを心の中でツッコンだのですが、一方これは非常に興味深いと感じました。
前々から思っていたのですが、人はポジティブな話よりネガティブな話の方が盛り上がりやすい傾向があるように思います。例えばニュース番組などは比較的ネガティブな話題の方が割合も多く、さらに影響力を持ちやすいように感じます。仮に、本当に言語としてネガティブな形容詞の種類が多いのだとすると、それと関係があるのではないかと思いました。
僕は幸いにして愚痴しか話さないようなグループに属することが少なかったので定かではないんですが、ステレオタイプにはサラリーマンの飲み会というのは「部長がなんだ!」みたいな愚痴で盛り上がるとされています。ちょっと古い価値観なのかも知れませんが、漫画やドラマで多々そういった表現がされてきたと思います。ああいう場においても人を褒めるようなポジティブな話題よりも簡単に話を膨らませられる傾向があるかもしれません。
一方、結婚式というポジティブの極みのようなシチュエーションについて。
披露宴の帰り際に、新郎新婦から小さな手土産を渡されたりします。実は私はあれがちょっと苦手です。
本当におめでとうと思ってるし、本当に幸せになってほしいと願ってるんですが、あの時僕は何をしゃべれば良いのかと毎回緊張しちゃいます。「おめでとう」「幸せになってほしい」という感情を伝えたい場合、もうそのワードしか思い浮かばず、「それ前の人や後の人から500回ぐらい聞いてるやつだよなーまあでも俺が爪痕残す場じゃないし、おめでとうだけ伝えるかー」と思うも、5文字で帰るのも塩対応すぎます。結局何言っていいか分からず四苦八苦してます。毎回です。
SNSにおいても、企業や有名人に対するネガティブな評判というのはポジティブな評判と比較すると5倍広がりやすいというデータもあり、よく知られています。
言語の原始的な発達を考えると、おそらく危機を回避する、最終的には死や種の全滅を回避するための相互扶助手段として発達したという側面が大きいでしょう。多分。
そう考えると、例えば「痛い」と「悲しい」では解決方法が変わります。なので、これが言語として別れた理由は想像しやすいです。一方、ポジティブな感情を表す言語はどれを言われても受け取り手は「よかったねー」ぐらいの話で、それをミスったところで喜んでる人に致命的な影響はありません。
そんな理由で、ネガティブな話題の方が言語表現も多いし、話題が盛り上がりやすいのかなーみたいなことを考えたので、書いた。