自社コールセンターをテレワーク化できた理由3つ
GMOグループは新型コロナウィルスが話題になるや否や、1月26日という非常に早い段階で、全社員をテレワーク体制に切り替えました。
これと同時に、私が関わる『カラーミーショップ』の問い合わせ受付についても即日テレワーク化ができたんですが、どういったかたちで業務がおこなえているのかをご紹介します。
0.グループ全体のBCP対応
GMOグループは、東日本大震災以降毎年テレワークの訓練日を設けていていました。その度に情シス部門がSSL-VPNの品質やセキュリティ面の安全性を高めてくれていた事が大きな背景としてあります。
しかし、ここだけ説明されても、現場感としては参考にならないでしょうし、よくよく考えてみたらテレワーク化と関係ない文脈でこだわって作ったワークフローが功を奏してテレワーク化に大いに役立っていると考えられます。
1.アウトバウンド形式にこだわった
『カラーミーショップ』の問い合わせフォームは、まず要件を入力していただいたら「メールで返信」「電話で回答」どちらが欲しいかを選択していただき、zendeskというサポートツールでチケット化されます。オペレーターは、自分に割り当てられたチケットに応じてメールしたり電話をかけたりします。
インバウンドと別枠で時間予約を取るようなかたちはよくあるようですが、インバウンドをやらずにコールバック制を取っているセンターはなかなか珍しいと思います。
これにこだわった理由は、大きく2つあります。
1.1顧客体験として、呼損という最悪の体験を無くしたかった
自分が顧客としてセンターに問い合わせをした際に、電話がつながらないという体験が本当に大嫌いなので、そういった体験を自分のお客様にさせたくありませんでした。
アウトバウンド形式であれば、即時性という意味では弱くなってしまいますが、呼損はゼロになります。
1.2従業員体験として、待ち呼に追われるセンターにしたくなかった
GMOグループには無料でランチやコーヒーが楽しめる素晴らしいカフェが備わっています。
電話番号を公開して、四六時中電話が鳴る一般的なコールセンターを作ってしまうと、ランチの時間をずらしたり、ちょっと離席するだけでも一定のハードルがあったりと、この素晴らしい福利厚生を十分に受けることができなくなります。
それだけではなく、全社会議に出席できない、全社的な打ち上げや社員旅行に参加できない等、あらゆる融通が効かなくなります。
怠惰な理由に見えるかもしれませんが、あらゆる職種が一緒に働くインハウスの職場に、コールセンターの一般的な運用がマッチしないと思いました。
2.zendesk一括化にこだわった
GMOペパボのカスタマーサポートは全般、サポートツールにzendeskを導入しています。
zendeskは、メール、電話、チャットいずれのチャネルからのお問い合わせも一括管理するのに非常に適したツールで、UIも洗練されています。電話対応したものはその場でMP3化されてチケットに履歴として添付されます。これは非常にパワフルな機能で、メール→電話→終話後にメールで補足 というような対応をした際にもキレイに履歴が確認できる状態となります。
これも、以前使っていたシステムではテレワークは不可能でしたが、zendeskに一括化しておいたおかげで、ネット回線とPCとヘッドセットがあればどこでも対応ができる体制をつくることができました。
(多数のサービスを取り扱う弊社にとって、全部署でzendeskに一括化するのは簡単ではありませんでしたが・・)
3.雇用形態による垣根を極力下げることにこだわった
ちょっと毛色の違う話なんですが意外と質問される事が多かったポイントなんですが、契約社員/アルバイトの方でも個人情報の閲覧はできるようにしています。
ここで同一労働同一賃金の話も踏まえるとかなりデリケートな話になるんですが、本来非正規の方を守るためのルールが「非正規だからという理由でやりがいのある重要な仕事をまかせてはいけない」という風潮になることを嫌いました。
細かく権限を調整したり、本人の意思確認を丁寧におこなうなど、これはかなり地味なところで調整をおこなってきた結果、「正社員はテレワークできるけど非正規は信頼できないからムリ」みたいな状態には全くなっていませんでした。
今回は、意外とここがネックで在宅体制に踏み切るのに時間かかってた会社さんが多かったですね。
まとめ
以上、テレワークをするためにではなく、強いていうならワークフローをシンプルにしたくてやってきた事が、結果的に何の障壁もなくサクッとテレワークを実現させてくれた
という事例のご紹介でございました。