モチベーション2%で始めた禁煙が、人知れず半日で終わった話

2022年末、古くからの友人が「俺2023年は禁煙します」と言っていた。
「お前それ去年も言ってなかった?」「いや、僕ここ20年ぐらい毎年禁煙してます。偉くないすか?」「いやそれ毎年禁煙失敗してるってことだろwwww」「それでも毎年年初に禁煙してる、その不屈の精神を褒めて欲しいんですよ」「まあ、確かに継続は力なりっていうからな。」という、くだらない笑い話をしていたのだが、何故か僕の中には「それもアリだな」という気持ちが芽生えた。できないからという理由でやらないより、やってできない奴の方がトータル偉いのだ。

僕は5年前に結婚した時に、いくつかの決め事をしていて、その中に「禁煙はしなくていい」というものがあった。理由は単純で、基本的に前回の結婚の時にやった事の逆をやるようにしようと思ったからだ。
こういうとかなり雑な根拠に聞こえるだろうが、実際に3年ほど禁煙していた期間を振り返るとそれは正しい判断だと思っている。本来僕の性格というのは結構短気で、それでも他人にアグレッシブになりたくないが故に言動に極力出さないことに成功しているというものである。これが禁煙中を振り返ると微妙にストレス耐性が弱まり、攻撃的な言動が若干目立っていた。mixiでオレンジレンジのアンチコミュニティを立てたのもこの頃の話だし、当時のブログには自分がバカだと思うものに対する辛辣な批判が書き殴られていた。とにかく何かある度にストレスを抱え、我慢できずにそれを外に出していた。禁煙以外の理由なんじゃないかと思われるかも知れないが、自分なりに時間をかけて観察と分析をした結果、禁煙による部分がかなり大きいと結論づけた。

短気な自分が少しでも攻撃的になった場合、その攻撃の対象になるのは間違いなく家族やチームメンバーなどの身内だ。それは絶対に避けるべきことであり、そのためなら体に悪かろうが毎月数万円のコストがかかろうが構わないというのが自分の基本スタンスである。

禁煙レポート

1月1日

失敗しても、また来年から毎年正月に禁煙することで、ちょっとした笑い話をパクれるぞと思い、極めてローリスクに禁煙をしてみようと思った。モチベーション2%で、必達優先度最下位で、少しでも自分が気が立ってると気づいたら終了させる。それでも毎年正月に果敢に禁煙に挑むというスタイルを導入してみようと思った。

本当に禁煙したいのなら、5台も持ち合わせているglo本体と加熱式タバコを全て破棄した方が良いのだが、飽くまでモチベーション2%なので、ある程度吸い切ってからにしようと思った。

1月2日朝

タバコが残り一本になっていたのでそれを捨てて、禁煙アプリをインストールした。
僕は、ヘビースモーカーにいがちな「コーヒーとタバコが無いと目が覚めない」タイプなので、禁煙スタートボタンを押して1時間も経たないうちに、頭がボヤボヤし始め、ラリホーマを三発食らったぐらいの眠気に襲われ、眩暈と呼べるものの一歩手前みたいな状態になり、とりあえず寝込んだ。

1月2日昼

今日は、妻方の義父の実家で年始のご挨拶お食事というイベントがあったので、なんとか2度目の起床をして車に乗ったら、まだタバコがまる一箱残っていたので、これはさすがに捨てようと思って車に乗せていたビニール袋に入れた。

おせちを食べながらみんなで談笑している時も、義父とその弟がタバコを吸いにベランダに出た時も、特に吸いたいとは思わないのだが、ダウナーハイな状態は常に継続しており、眠気とだるさと気持ちよさがブレンドされた液体が脳に垂らされている感覚だ。時折、ほとんど目が見えてないんじゃないかと錯覚する瞬間があって、確認するとバッチリ見えている。
実は、禁煙初期にこういう症状が出るのは経験上分かっていた。ある時期まで健康診断の指示を忠実に守り、当日タバコを吸わないようにしていた時代があるからだ。毎回健診の時にはタバコロスによってラリっていた。

正月に、曽祖母や祖父や大叔父や大叔母に囲まれて爆笑のかわいさをふりまく長男長女と過ごす時間は穏やかで、ラリった状態でも楽しく過ごせた。短気が助長されていなければOKなのでこれはこれで良い。

禁煙時間もアプリ上ではまだ8時間程度だが、昨晩0時から吸ってない時間をトータルすると14時間を超えており、まあこのまま禁煙タイムが積み重なってくのは良いかなと思った。

1月2日のついさっき

車で帰宅する途中、左車線に急に行列が生じた。よくあるスーパーへの左折待ちなのだが、右にウインカーを切った瞬間に右車線後方から車が来たので、すぐには車線変更ができなかった。
別によくあるシーンだし、僕もそれほどそれをどう思ったつもりもないのだが、反射的に舌打ちをしてしまった。

その1分後、コンビニから出てくる車が「うーん今ブレーキ踏んでもよかったよね」ぐらいの感じでこちらに向かってきて、まあ車道にはまだ余裕あったけど、一応軽く避けるみたいなシーンがあって、これもよくある一コマだと思うのだが、反射的にマー坊君みたいな顔でその車を睨もうとしてる事に気づいた。

マー坊君

あ、こりゃダメだと思って、さっき捨てたタバコを手にして、タバコを吸いました。
また来年のチャレンジをお楽しみに!

fin