コールセンターSV経験者が求人を探す時に、正社員を狙う方法
新型コロナウィルスの影響で、コールセンターを辞めたい人も、逆にコールセンターでの仕事を探している人も、どちらも多くなっているようです。
そのどちらの場合も、実は最低限知っておくべきことがあります。目次を見て「ああその事ね。知ってるよ。」と思わなかった方は是非読んでみてください。
1.インハウスの仕事を探そう
アウトソースとインハウスの違い
一般的に「コールセンター」としてイメージされる職場のほとんどが「アウトソース」と呼ばれるものです。
これは、派遣会社A社に登録すると派遣先を探してもらえる。派遣先のコールセンターでクライアントB社の従業員を名乗り、B社の商品についての問い合わせ対応をするというものです。
しかし、実はお問い合わせ対応という仕事を探すのであれば、皆さんがよく知るコールセンターの他に、カスタマーサポートセンターというのがあります。この「カスタマーサポート」で探してヒットする職場の多くが「インハウス」と呼ばれるものです。
B社に直接雇用してもらって、B社の社内でB社の従業員としてB社の商品についての問い合わせ対応をするというものです。
ちょっと乱暴ですが、ざっくりまとめるとこんな感じ。
インハウス | アウトソース |
会社の直雇用 | 派遣会社に登録 |
やや入社ハードルは高い | 派遣会社が職場を工面してくれる |
問い合わせ数も人員も少ない | 問い合わせ数も人員も多い |
対応が難しい傾向 | テンプレ対応できる傾向 |
CS/カスタマーサポート と呼称されやすい | コールセンターと呼称されやすい |
メール対応中心 | 電話対応中心 |
事業会社とも言われる | ベンダーとも言われる |
インハウスをおすすめしたい4つの理由
アウトソースで働くよりインハウスで働く方が全面的に正しいとか素晴らしいというわけではありませんが、ここでは分かりやすくインハウスで働くメリットだけを挙げていきます。
1.他の職種と一緒に働ける
例えばIT企業のカスタマーサポートで働くと、エンジニアやデザイナーや営業や経理や法務や総務と一緒に働くことになると思います。それぞれの専門的な知識を持った仲間と一緒に働けるのは、視野を広げる意味で非常にお勧めできます。
2.商品開発に意見が出しやすい
商品に対するクレームをいただくと、やりきれない気持ちになりませんか?そういう「もっとこの商品がこうだったらな」という思いを、インハウスの場合は同僚である開発者にカジュアルに直接伝えられます。むしろそういう話が一番盛り上がる、というような仲間が作れるんじゃないでしょうか。
3.キャリアアップ・キャリアチェンジがしやすい
アウトソースコールセンターで働く上では、SVより上の役職を目指すのは難しいと思いますし、増してその職場の中で職種をチェンジすることはほぼ不可能です。
インハウスの場合、比較的他の職種に挑戦しやすいと言えます。また、カスタマーサポートのままの職種でキャリアを上げた場合でも、リーダー(SV)→マネージャーといったステップが見えます。ちなみにカスタマーサポートマネージャーの年収はだいたい600万円ぐらいが相場だと思います。
さらに部長や執行役員といった役職まで目指せる場合もあります。
4.テレワークに対応している
飽くまで傾向の話ですが、アウトソーサーはこのご時世においても在宅勤務をさせてくれないところが多いです。一方、インハウス特にIT系の会社であれば、在宅勤務に対応しているところが比較的多いはずです。
2.正社員の仕事を探そう
問い合わせ対応の仕事でも、正社員採用をしている求人はあります。
そして、正社員採用と非正規(バイト・契約社員・派遣社員)採用というのは、実は採用基準に明確な違いというのはありません。
特に、コールセンターでSVを経験されたことがある場合、その経験値があるなら正社員として来てほしいと思う企業は、どこかには必ずあります。
逆に、一度アルバイト採用されたら、そこから正社員登用してもらうためのハードルは意外と高くなります。自分より仕事ができない正社員が後から入ってきても、それに文句を言うことはできないと思った方がいいです。
「正社員採用の窓口から入ってきた」「役員面接を通過した」という時点で、かなり大きなアドバンテージを得ることができるのです。
・インハウスで正社員の仕事をする方法
1.「カスタマーサポート」で検索する
アルバイト情報誌ではなく、「カスタマーサポート 求人」とかで検索すれば上位の方にマイナビ転職やIndeedのページが出てくると思います。
また、求人をあなたに代わって探してきてくれるエージェントというのも並行して使ってみることもおすすめします。
これも「転職 エージェント」とかで探して、自分がカスタマーサポートで正社員の仕事を探している旨を伝えればオッケーです。
2.長期戦を覚悟する
正社員採用をされるには、面接を3段階程度通過する必要があります。最終面接は役員が来たりします。
ご自身の年齢や経験値にもよりますが、結構ハードル高く感じますよね。これはその通り、ハードルが高いんです。
ちなみに僕は34歳の時、正社員歴が無く、コールセンターSVの状態で転職活動を始めましたが、50社以上にエントリーして、内定を取るまでには1年近くかかりました。
まず、当時の僕と同じような経歴だった場合、書類選考で9割ぐらい落とされます。そして面接も最初は意味のわからない用語で質問されたりすることが多くあります。で、そういう手応えだった面接はほぼ落ちます。
それを繰り返していくうちに、用語を覚えたり、何を聞かれるかが把握できたり、選考を次に進める力がついてくるでしょう。
今働いている職場を辞めてから転職活動をするのではなく、長期戦を事前に覚悟して働きながら転職活動をした方が良いと思います。
3.自分の強みを知っておこう
僕は面接官として、コールセンター出身者の方を数多く面接してきていますが、SV経験者に対する評価は高いです。ただ、この自分の強みを分かっていないSV経験者が非常に多いように思います。
クレーム対応ができること
事業会社で頭脳労働をやっているような人たちのうち、全員がクレーム対応をやりたくありません。SV経験者であってもクレーム対応に心理抵抗はあるとは思いますが、初めてコールセンターで働く時よりは、慣れてきて心理抵抗は下がっていますよね?
その「慣れ」を持っているというのは、企業にとって実は非常に魅力的です。
一定の部下を持った経験
もしかすると、SV経験者はオペレーターさんを「部下」だと意識したことは無いかもしれませんが、例えばあるオペレーターに嫌われてしまったということはありませんか?また、自分がしっかりしていなかった事によってオペレーターに迷惑をかけてしまった記憶はありませんか?
実はこういった部下との関係におけるネガティブな経験は、これから人の管理をまかされていく上で非常に貴重です。もしそんな経験があるなら、その嫌な記憶をしっかり反芻して「何故そういうことが起きたのか」「次はどう対策すればよいのか」を考えておき、面接でも隠さずお話してみると良いでしょう。
一定の評価を与えられた経験
あなたは何故オペレーターからSVになれたのでしょうか。
誰かから一定以上の評価をされたからである、という場合がほとんどだと思います。それは一体何を評価されたのか、把握できていますか?
もし全く分かっていないなら、その当時の上司などに聞いてみるのも良いでしょう。「なんとなく目立ってたからだと思う」というような、面接で説明するにはフワっとしすぎた理由で捉えているなら、その理由は自分のどういった特徴によって生まれたのか、など、自己分析をロジカルに進めておくと良いです。
例えば「当時のセンターのSVは女性が多く、彼女たちは分析や仕様の把握には長けていたんですが、クレーム対応になるとマネージャーにエスカレーションされてしまうケースもありました。自分はその点粘り強いクレーム対応が持ち味だったので、そういうSVが一人ほしかった、というフィードバックをいただいた事があります」みたいな粒度で説明ができると、自分のことも周囲のこともよく見えている人物だと感じてもらえるでしょう。
こういった、自分の価値を正しく把握しておくことは、面接を勝ち進む上で大きな武器になります。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
皆さんが少しでも良い職場環境に出会えることを祈っております。
実際に、アウトソーサーからインハウス正社員になって、今は事業会社のCSマネージャーをやっているような人がよく出演しているYouTubeはこちら