カスタマーサポートでそこそこの収入を得ている人たちが何をしているのか

1.この記事を書く理由


これを読めば、カスタマーサポート/コールセンターという職種で相場600〜900万ぐらいの年収の人が何をやってるのかが分かります。
非常にベーシックな事を書きますので、一部の方には「何をいまさら」と思われる可能性が高いです。なので、まず記事を書く理由から説明したいと思います。なお、この記事では便宜上、カスタマーサポート/コールセンターをひっくるめて「コンタクトセンター」「CS」と記します。

CSのおおまかな実態が知られていない

僕のみならず、そこそこの年齢になって「どういう仕事してるの?」「あ、カスタマーサポートです」という人が一定数います。この回答をした時点で、最低賃金の非正規労働者だと思われる場合があるのですが、実はこの職種の人たちの中には、年収1,000万円を超えるような人がいて、タワマンに住んでたりメルセデスに乗ってたりする場合もあります。

このCSというポジションの重要性や収入の市場相場は、IT業界あるいはコンタクトセンター業界の中で急速に認識されてきたもので、業界外の方にとってはちょっと馴染みのない情報だと思います。
僕も、CSだという理由で若く見られたりバイトだと思われたり敬語を使われなかったりという体験を何度かしてきています。この情報格差のようなものを埋める記事が書けたらいいなと思いました。

表面的な説明が逆に邪魔をしている

表面的な説明というのは、ユーザーファースト、何よりもお客様が大事、お客様の声をプロダクト改善に確実に届ける、みたいな「そりゃそうだろうけど」という抽象度の高い正論のようなもので、これでは年収1,000万円を超える人物が増えてきている職種であることの説明になりません。

ややもすると、企業に価値貢献もせずに抽象的な正論ばっかり言ってる人とも見られかねない状態が、部分的に起きているとも思うわけです。もう少し具体的な実態をアウトプットしても良いのではないかと。

2.CSの重要性

それでも前段知識として、何故企業がCSに一定の投資をしなければいけないかというフワッとした説明は必要だと思うので、先に述べたような、抽象的な正論をもうちょっとだけ噛み砕いてみたいと思います。

リスクヘッジ

そもそも、2000年以前の企業ではCSを部署として設置せず、社員が持ち回りでお客様からの電話を取る場合が多くありました。そういった背景で東芝クレーマー事件という、良くないお客様対応を晒されることで炎上が起き、企業イメージを損失するような事件が起きました。
インターネットが発達し始めた時期に起きたこの炎上案件によって、あらゆる企業は顧客接点に炎上リスクがあること、その対策をするためには他の仕事のついでではなく専門のセクションを設置した方が良いということを認識するに至りました。

CRM

お客様というのは、企業の製品やサービスでポジティブな体験をすると、ファンになってくれて、より企業に利益をもたらしてくれます。これは当然の話なんですが、やがてこれをもっと顧客接点にフォーカスした研究や事例が増えてきました。ザッポスの奇跡という本のヒットとか、グッドマンの法則というのが発表されたのがこの代表的な例になります。

簡単に言えば、「クレーム対応に納得いただけた場合、リピーターになる確率がむしろ上がる」とか「顧客対応の良い体験より悪い体験の方がSNSで拡散される」「クレームが1件あるなら、それは氷山の一角であり、サイレントクレームが潜んでいる」ということがふんわりとした一般論ではなく、実例や数値を伴って実証されてきたわけです。

CSをひとつのセクションとして設置しそこの品質を高めることには、炎上というリスクに対応する意味でも、リピーター・ファンを増やす意味でも重要だというのが2000年以降に広く認識されてきたのです。

3.CSでそこそこの収入を得ている人たちが何をしているのか

こういった重要性があるから、顧客接点については専門のセクションを作りましょう、というところまで想像していただけますでしょうか。

CSマネージャーという役割

さて、ではお問合せに対応するCS部署を作りました。
例えば1日のお問い合わせ数が100件以上程度だとすると、おそらく3〜6名程度は配置しなければなりません。皆さんならどういったレイヤーの従業員をアサインするでしょうか?
ほとんどの場合、非正規の方を含むジュニア層がプレイヤーの大半を占めているのが現状です。この方々の年収相場はざっくり300万円前後になります。職種がCSだというとバイトだと思われる所以はここにあります。

さて、元々社員が持ち回りで電話を取っていたものを、こういった非正規の方々にバトンタッチするだけでは、先ほどの項目で触れたように、ファンを増やしたり炎上リスクを防いだりできなそうですよね?かといって、通常の企業予算を考えたらここに年収500万以上の中堅の方を揃えていくと、問い合わせ数にもよりますが結構なコストになってきます。

なので、このジュニアプレイヤーの方達が最前線で良い顧客対応ができる環境・仕組みづくりをしていくというのが、チームの使命になってきます。
ここでCSのことを何も分かってない方がCSチームを作ると、「テンプレートだけ渡せば一律対応ができる」というタイプの勘違いをしてしまうのですが、人材育成というのはそんなに単純ではありません。評価も、日々のルーティンを改善していくサイクルも、労務管理も、入社時研修も含め、全般的なマネジメント能力が求められます。

この責任を負うのがCSマネージャーです。このCSマネージャーというのが年収相場600万〜900万程度の人になるわけです。

これは飽くまで相場に過ぎなくて、それ以上の方も以下の方もいます。肩書きもマネージャーではなく、リーダー以下だったり、部長以上だったりする場合もあります。ここではざっくりそういう責任を負うポジションがCSマネージャーと呼ばれることが多く、ざっくりこれぐらいの収入である場合が多いんだな、ぐらいにご理解ください。

ヒトのマネジメント

CSマネージャーは、事業会社における他職種の課長レイヤーと比較した場合に、以下のような特徴を持つ場合があります。

  • チームメンバーが平均的にジュニア層である
  • マネジメント対象となる人数が多い
  • 新卒やインターンが配属されることも多く、ジョブチェンジを見越したスキル育成支援まで乗り出す

ちなみに、僕が初めてマネージャーになった時点でのメンバーが10名で、最大で25名程度まで増えたりしました。他社事例だと課長レイヤーで100名程度のピープルマネジメントを求められる場合もあります。

ハイレイヤーのマネジメントをすることと比べて難易度が高いとも低いとも言いませんが、明確に求められるスキルは違ってくるという特徴として捉えていただけると良いかと思います。

戦略

ヒトのマネジメントをすることと、戦略は別の切り口でおこなわれますよね。

KPIや目標を設定していくところから想像していただけるとわかりやすいと思います。
KPIとして代表的なものは、電話のセンターなら応答率、メールのセンターなら初回返信時間だったりしますが、それは一例であり、そこに課題があるなら目標になり得ますが、そうでなければ定点観測対象にしかなりません。

例えば、ユーザー数に対して問い合わせ数が多すぎるならそこを課題として問い合わせ率を下げることを目標とし、施策としてはFAQを充実させたりチャットボットを設置することもあります。
例えば、一次対応する方のエスカレーションが多すぎてマネージャーやリーダーのリソースが圧迫されているならそれを課題として、エスカレ率を下げることを目標とし、施策としては研修やマニュアル強化をおこなうこともあるでしょう。
例えば、事業が好調で3年後にユーザーの数が10倍になるような全社目標がある状態であれば、急速な人員増加を見越して、確度の高い採用計画を作ることや、その必達を目標とすることもあるでしょう。

わかりやすく例に挙げようと、クオーターから半年で設定されがちな目標を多く挙げましたが、事業の状態や規模や性質に応じて、CSマネージャーが目指すチームのかたちは様々です。

付加価値

先ほど、事業の状態や規模や性質に応じて、CSマネージャーが目指すチームのかたちは様々だと言いましたが、「お客さまの課題解決」をミッションとするのであれば、当然CSチームが取り組む事というのは問い合わせ対応に終始するわけではありません。

まあ戦略の一部ではあるんですが、例えば僕がやったことある施策を一部紹介すると

  • お客さまは困ったら必ず全員が問い合わせをしているわけじゃない。だったら聴きに行ってみようということで、申し込み全ユーザーに架電して、何に困ってるかをヒアリングする
  • 長話しないと伝えられないような内容は、問い合わせをいただくごとに説明するのでは効率が悪いのでブログやYouTubeチャンネルで伝える

みたいなことをやったことがあります。

さいごに

これでも本筋と逸れることは大幅にカットしながら書きました。事業によってCSがやっていることや職務範囲は大幅に違います。ここではエンドユーザーの問い合わせ対応のみを想定して書きましたが、toBのサポートや社内ヘルプまで、CSが担っている場合もあります。

ただ、飽くまでカスタマーサポート/コールセンターという職種で600〜900万ぐらいの年収の人が何をやっているのかということを、ご存じない方が知ることはできるんじゃないかなと思います。