EPとミニアルバムとは?その捉え方に関する配信サービスにおけるギャップ
Apple MusicやSpotifyを代表とするサブスク配信サービスでは、7曲未満の作品は一律して「EP」として、シングルの仲間と見なされているようなんですが、そこに感じている違和感や諸々の情報をまとめました。
目次
EPとは
EPとは「Extended Play」の略で、シングル以上アルバム未満のものを指す言葉です。
概ね3曲〜6曲入りの作品がこれに該当しています。
配信サービスにおいて、シングル・EP・アルバムをどう判別されるかについては
もしかすると作品を申請するディストリビューター側の申請次第なのかも知れませんが、私が使用しているディストリビューションサービスにおいては、30分以内の作品はEPと見なされるという説明があったものの、実際には作品のタイムに関わらず曲数で判別されていました。
恐らく、自動的に以下のような判別をされていると考えられます。
1曲:シングル
2曲〜6曲:EP
7曲以上:アルバム
配信サービスには「ミニアルバム」の概念が無い
一方アーティスト側としては、たまたまアルバムの世界観を作る上で7曲以上の曲数が必要なかったから5〜6曲入りにしただけで、完全にアルバムと同じ意義を持った作品を作った場合、日本のアーティストは「ミニアルバム」という認識をする場合が多いと思います。
私の認識を簡単に言うと、ミニアルバムというのは
・シングル曲が含まれている
・収録曲は、他のアルバム(ベスト盤を除く)に封入されない
・作品のタイトルが、シングル曲の曲名とイコールではない
あたりの条件を満たしていると、機能としてはアルバムと同じで、EPというシングルの延長線上の定義を当てはめるべきではないというものです。
ところが、この「ミニアルバム」という概念が、どうも海外ではあまり使われていない気がします。
そのためか、配信サービスではこんな私の気持ちとは関係なく、7曲未満の作品はEP(シングルの仲間)として捉えられています。
認識と実態のまとめ
私の気持ちとして記した認識は、恐らく国内においては賛同してくださる方が多いのではないかと思います。
赤字の部分が、今回声高に主張したいところです。
作品のタイトル | 私の気持ち | 配信サービスの判断 | |
シングル曲1曲のみ | シングル曲とイコール | シングル | シングル |
カップリングを含めた2〜3曲入り | シングル曲とイコール | シングル、マキシシングル (シングルの仲間) | EP (シングルの仲間) |
リミックスがたくさん収録された 4〜5バージョン入り | シングル曲とイコール | EP、マキシシングル (シングルの仲間) | EP (シングルの仲間) |
6曲入りの作品 | 作品タイトルがある | ミニアルバム (アルバムの仲間) | EP (シングルの仲間) |
7〜8曲入り30分以内の作品 | 作品タイトルがある | ミニアルバム アルバム | アルバム |
9曲以上または30分以上の作品 | 作品タイトルがある | アルバム | アルバム |
アルバムを作るなら7曲以上入れよう
私が出した結論は、自分がアルバムとして認識している作品には、なんとか7曲以上入れる努力をした方が良いというものでした。
以前、5曲入りの非常に思い入れの強い作品をリリースしたんですが、こちらも2曲追加してDelux Editionとして再リリースしようと思っています。
もし、これから「6曲しか入ってないけど、俺たちの渾身のアルバムだ!」というものをリリースしようとされている方がいましたら、是非もう一曲追加することを検討してみてください。
筆者が個人的に好きなミニアルバム
リンドバーグ/Extra Flight
私が渡瀬さんとバンドをやらせていただいていた時に、「どうしてもやりたい!」とワガママを言いセットリストに入れてもらったという思い出のある大好きな名曲「I MISS YOU」が収録されています。
「I MISS YOU」はシングル曲で、そのシングル曲を含む7曲入りの作品であり、さらに他の曲は捨て曲でもなんでもなく、「DESTINATION」などシングル並の柱が立っています。どう見てもアルバムの仲間です。
現在、リンドバーグは配信サービスにおいて、シングル曲は未リリース、アルバムは全てリリース済みとなっているんですが、EP扱いとなるこの作品はリリースされていません。
「I MISS YOU」はベスト盤に収録されていますが、「DESTINATION」は現在配信サービスで聞くことができません。悲しい。
ガンズ・アンド・ローゼズ/GN’Rライズ
シングル曲「Patience」を含む8曲入り。
元々リリース済みのライブ音源4曲と、アコースティック曲4曲という構成からも、この作品をガンズの「2ndアルバム」と言うと、ファンの間では分かってねーなと言われがちな、立ち位置の非常に難しい作品です。
ただ、日本国内においてはミニアルバムと呼称されていて、私はこの作品こそガンズがどういうタイプのバンドなのかを象徴するような非常に重要な作品だと思っています。
これは8曲入っているからか、配信サービスではアルバムとして取り扱われています。満足。
筋肉少女帯/断罪!断罪!また断罪!!
代表曲「踊るダメ人間」と、綾波レイのイメージ元になったというエピソードでも有名な、ファンの間でも人気の高い「何処へでも行ける切手」が収録されています。
このことから、筋少の代表作といってもおかしくはない作品で、wikipediaでは筋肉少女帯の6枚目のアルバムと紹介されていますが、これも配信サービスではEPとしてシングルの仲間にカウントされています。
CHAI/わがまマニア
バンドの代表曲と言えるような名曲「アイム・ミー」が収録された5曲入りのEPです。
ここがまさにEPの立ち位置を難しくする話なんですが、「アイム・ミー」はシングルとしてはリリースされておらず、このEPの翌年にリリースされたアルバム「PUNK」にも収録されています。
こうなってくると、「わがまマニア」は私の定義からするとミニアルバムではなく「アイム・ミー」を柱としたEPであり、シングルの仲間ということになってきます。